こんにちは。事業担当皆川です。
秋分の日も過ぎ、虫の声が涼しげな夕方に響くようになりました。
先日、上野で開催されていた「植物展」に行きました。
約43億年前に生物が誕生し、シアノバクテリアという細菌が最初に光合成を行えるよう進化したことから植物が誕生したと言われています。そして裸子植物、被子植物へとさらなる進化を遂げていく中で面白かったいくつかのトピックスをご紹介します。
1 植物が生き物へSOS信号を出せること
キャベツなどのアブラナ科はモンシロチョウの大好物。卵を産み、幼虫が沢山生まれますが、キャベツは自分が食べられすぎてしまうとその葉から特殊なにおい(化学物質)を出し、天敵のアオムシサムライコマユバチを自ら呼び寄せることができるそうです。ハチはモンシロチョウの幼虫に卵を産み、寄生するため、成虫になれません。自分を食べる虫の種類によって異なるブレンドした香りを出しその虫の天敵を呼び寄せることができたり、さらに周りのキャベツにも伝えて防御させることもできるとか。黙って食べられるだけではないというところがユニークです。
2 紫外線から新芽を守る毛状突起「トライコーム」
アカメガシワは春先に出てくる新芽の色が赤くなります。その芽にはアントシアニン色素が多く含まれ、やわらかい葉を紫外線から守っています。顕微鏡で見ると表皮の細胞が突起状になり毛を出して強い日光から守っていることが伺えます。肉眼でも何となく見えます!
春に萌芽するバラなど多くの植物の芽が赤身を帯びているのはそういうことだったのかと納得です。人間も紫外線から身を守るように進化できたら。
葉の基部には一対の密線があり、アリがいつも蜜を吸いに来ています。アリを常駐させ他の虫から食害されるのを防衛しているそうです。すごい連携プレーです。
3 テンナンショウの受粉システム
テンナンショウやマムシグサは野山で見られますが、仏炎苞に虫を閉じ込めて食虫植物ではないのに昆虫を利用して殺してしまう恐ろしい植物でした。
独特の形をした筒状の仏炎苞の中に花がありますが、栄養状態によって全て雄花になったり雌花になったりするそうです。つまり雌株と雄株があり、においで虫をおびき寄せ、受粉・送粉を行ってもらっているようです。雄株の花粉を付けた虫は植物の一番底に脱出口があり、出られて次の花へ受粉に迎えるのですが、雌株には脱出口がないため、テンナンショウの受粉を完了した虫たちは、お役目終了となり花の中で死んでしまうそうです。
少しせつなくなりました。
他にも最古の植物化石や遺伝子組み換え技術による青いキクや光トレニアなどの紹介もありました。青い菊には、バタフライピーとカンパニュラの青色色素とタンパク質が使われているそうです。このような組み換え技術で今後もあらゆる花色ができていくのでしょうね。
いろいろ見て廻ることができましたが、植物の素晴らしさは何といっても「光合成ができる」ことです。二酸化炭素を吸収し酸素を生み出し、生態系の底辺に位置しています。
食べられたり動かないことも決してマイナスなことではなく、様々な工夫で生命を繰り返し、「私たちの生活を支えてくれている!」と改めて実感し、地球上の緑・身近な植物達を大切にしていこうと思う内容でした。
思い切って出かけてしまいましたが、充実した一日となりました。
この植物展のオンライン講演会がアーカイブ配信されているようですので、ご興味のある方は、ぜひ公式ホームページをご覧ください。
コロナウィルス感染が少し落ち着きつつありますが、まだまだ安心できないような気がします。
これから乾燥の季節となりますが、皆さま、体調に気を付けてお過ごしください。