8月23日猛暑の中、三鷹市緑化推進委員会のメンバーの方々が、濱野先生のご案内で明治神宮の森の研修会を実施しました。
100年かけて作られた森の成り立ちを中心に、たいへん興味深いお話を伺うことが出来ました。その中のいくつかをご紹介します。
当日は快晴、町の中はとても暑い日でしたが、神宮の森に一歩入ると涼しさを実感。20m近い樹冠が上部を覆っていることがこの涼しさに欠かせないものだそうです。
神宮の中でも最も大きなこの第二鳥居、比較的真新しく見えますが、1975年に竣工したもので材は台湾ヒノキ材(紅檜)樹齢はなんと約1200年のものだそうです。大変香りが強く、今でも鼻を近づけるとヒノキのよい香りがします。虫を寄せ付けない強さを感じます。
関東の社寺森の構成樹種は自然植生のシラカシやスダジイなどによるものが多いのですが、明治神宮の森は全国からの献木によってつくられ、クスノキが多用されているそうです。クスノキは葉の光透過性が大きく、林床にも光がふんだんにあたるため、階層構造が良く発達しており、植生の多様性向上に貢献しています。
下の写真は神宮内の樹高20m以上のスダジイですが、樹冠を下から見上げると、枝と枝が重ならないようになっていることが分かります。スダジイの葉は光透過性が低いので自分の葉同士でも重なると下の葉は光合成が出来ないのです。
コナラやケヤキなどの落葉樹の葉は、4月~11月頃の8カ月ほど使えば落として捨ててしまう「使い捨ての葉」なので厚さが薄いのですが、シラカシやスダジイなどの常緑樹の葉は数年間使うために厚さもあります。クスノキは常緑樹ですが、毎年多くの葉を落とすのは、葉が比較的薄いこととも関連しているのかもしれません。
本殿の前の広場に出ると本殿両脇の立派なクスノキが目につきます。トトロの森に出てくる「クスノキ!」もこんな立派な木でしたが、この木が周囲を舗装されても元気いっぱいに育っているのは実は秘密があることを教えて頂きました。
初詣の時には何万人もの人が訪れる場所ですから、舗装は欠かせないのでしょうが、木にとっては舗装されると必要な水が土に入らず、また人の踏圧で根が傷み、木の勢いが低下してしまいます。
そこで下の写真のように木の周りの平板の目地にはモルタルが入っておらず紙が通ります。雨が降ればこの目地から水が落ちて土に浸透するのです。下にはコンクリートのテストピースが立っていて、その上に平板を固定しているそうです。すばらしい知恵ですね!
暑い中でしたが、充実した研修となりました。